このままでは優れた技術を持ちながらも経営破綻に陥る企業が現れる。外国資産の多大なる流入に対し、毎日80億ユーロもの資産が流出していることになる。これはイタリアの主要産業のひとつでもある二輪産業についても当てはまる。
海外製の二輪車販売は今年前半六ヶ月で5%上昇、それに対しイタリア製は9%下降した。イタリアでモノをつくることは、カネがかかるわりに利益がでないというのがこの背景にあるようだ。これは賃金と税金があまりにも高く、また窮屈な官僚政治や不十分なインフラ整備など国のシステムが充分でないために起こっているといえるだろう。こうした状況から、遠くアジア諸国からだけではなく、近隣ヨーロッパ諸国からの供給が相次いでいる。
それでも、イタリア二輪車は衰退しているわけではない。登録台数が物語っている以上にイタリアの“創造力”に魅力を感じる熱狂的な二輪愛好者が多く存在している。とはいっても、イタリアの二輪車産業を支えるためには空想だけでは不十分であり、これからはさらに価格競争に飲み込まれることのない全方位的な高品質が要求される。そのためには構成する部品の一部を生産拠点を海外へ移す、または委託するという“勇気ある決断”が必要になってくるであろう。重要なのは、そこに一貫した“Made in Italy”の精神が堅持されていることであり、生産地が意味するものでは決してないのである。
益々進むグローバルなもの作りは“Made in Italy”をより高い次元へ押し上げていく原動力となるものだと思っている。
- アルフィオ・モローネ -
クラッチ製造会社として50年の歴史をもつAdler社の代表であるアルフィオ・モローネはインドに2つ、中国に二つ、タイに1つの工場を設立した後、イタリアのドゥカティー専門シャシー製造会社であるLa tech Frame社を引き継ぎ再構築に努め、Rovereto社への移転を提唱した。7月21日に終えたその計画には200万ユーロ(二億八千万円)もの資金を投資しており、まだ成長の初期段階だという。彼の野望はイタリアのメーカーだけではなく、ヨーロッパ各国の有名メーカーまたはその他の国のメーカー用のシャシーを製造することだと語る。